本記事は2020年4月1日にJosh Odgers氏が投稿した記事の翻訳版です。
vSAN/VxRAILとNutanixの使用可能な容量の比較のパート1では、Nutanixは重複排除と圧縮、およびイレイジャーコーディングを利用した場合に、容量の効率性、柔軟性、回復力、およびパフォーマンスの向上とともに、より多くの使用可能な容量を提供することを学びました。
また、vSANの使用可能容量を改善する方法はありますかという問いに対して、(使用可能な容量の比較 – パート1の中で)4つの例を示しました(以下を参照)。
- 単一のディスクグループのみを使用することで、キャッシュによって「失われる」容量をSSD 1枚分だけをとどめます
- ディスクグループごとに、より多く本数のSSDを利用する/またはより大容量の SSD を使用します
- 圧縮/重複排除を使用します
- イレイジャーコーディング/RAID5または6を使用します
この(Nutanix ADSF vs VMware vSANの)比較のためのハードウェア仕様は、4台のNVMeドライブと20台のSATA-SSDを搭載した4台のDell PowerEdge R740xdです。これは、各vSANディスクグループが前回の例(キャッシュドライブ1台、キャパシティドライブ2台)よりも多くのSSDを使用することを意味し、結果としてキャッシュドライブ1台、キャパシティドライブ5台となります。
今回はより多くのSSDを搭載したノードや、ディスクグループごとに大容量のSSDを搭載したノードを使用して比較します。
この構成は、DellEMC社によって「データベースなどの重いワークロードに最適化された高性能ノード」と説明されているDellEMC VxRAIL P-Seriesの構成に相当し、24本の12G SASドライブスロット(2.5インチ)のディスク構成をサポートし、それぞれ最大5台のキャパシティドライブから構成される最大4つのディスクグループを持つことが可能です。
参考 : http://dellemcstorage.com/dell-emc-vxrail-p-series.html
以下は、vSphereクライアントに表示されるドライブを示しています。
4台のNVMe P4600 3.2TBドライブ(フォーマット済み容量2.91TB)
残りの20台は、1.92TBのSATA-SSD(フォーマット済み容量1.75TB)
これでvSAN/VxRAILとNutanixの間の比較条件が整いました。
それでは早速、数字を見てみましょう。
vSAN/VxRAIL: 140.15TB (Physical) vSAN/VxRAIL: 140.15TB(物理容量)
注:vSANは物理容量を報告しますが、FTT1でデータを書き込むと実質的に容量が半分になり、FTT2では物理容量の33%が使用可能になります。
Nutanix社:82.33TB(論理容量)/164.66TB(物理容量)
注:NutanixはvSphereクライアントで論理的な使用可能容量を報告しているため、vSANが報告している物理的な容量の値と比較するために、(論理的な使用可能容量に)2を乗じています。
なお、Nutanix PRISM GUIでは、物理的(または論理的)な容量が表示できます。
この4ノードクラスタの結果を確認してみましょう。
| Nutanix | vSAN |
物理容量 | 164.66TB | 140.15TB |
スラックスペース(25%) | 41.65TB | 35.03TB |
合計 | 123.49TB | 105.11 |
Nutanixの方が18.38TB(約16%)も使用可能な容量が多いことになります。
同じ比較を8ノードクラスタで行った場合、vSANでは(引き続き)25%のスラックスペース(vSANで必要とされるスラックスペースの最小値)を確保する必要がありますが、Nutanix ADSFは分散型ストレージファブリックであり、大きなオブジェクトによるフラグメンテーションの制約がないため、12.5%の容量しか必要ありません(N+1および通常のクラスター運用の場合)。
容量比較 | Nutanix | vSAN |
物理容量 | 329.32TB | 280.3TB |
スラックスペース | 41.165TB (12.5%) | 70.075TB (25%) |
合計 | 288.15TB | 210.225TB |
Nutanixはスラックスペース(クラスタの機能と回復力に必要)の容量が少なく済むため、使用可能な容量の優位性が高いことがわかります。
Nutanixのお客様は、全く同じハードウェアで(vSANに比べて)77.925TB(約31%)の追加容量が得られます。
重要な注意事項:vSAN/VxRAILでは、オールフラッシュ構成の場合、キャッシュデバイスの100%がライトバッファリング専用となりますが、(ドライブの容量に関わらず)最大600GBまでしか使用できません。
引用: https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2019/04/18/vsan-disk-groups/
Nutanixにはキャッシュドライブという制約や概念がなく、Nutanixの方が使用可能な容量が大きい理由の一つとなっています。
覚えておくべきこと:
重複排除や圧縮などのvSAN/VxRAILのデータ効率化テクノロジーの使用は、環境の回復力やドライブ障害の範囲に大きな影響を与えます。また、イレイジャーコーディングの使用はパフォーマンスと容量とのトレードオフが生じます。
Nutanixはこれらの深刻な妥協に頭を悩ませることなく容量をより柔軟に拡張できます。これについては、以下の記事で説明しています:
- 重複排除と圧縮の比較 - Nutanix ADSF vs VMware vSAN
- イレイジャーコーディングの比較 - Nutanix ADSF vs VMware vSAN
- ストレージ容量の拡張 - Nutanix vs VMware vSAN
まとめ:
Nutanixの使用可能な容量をvSANと比較する場合、経験則として使用可能な容量を公平に比較するためには、まずデータ削減(のテクノロジー)の要素を含めず、この記事で説明してきたような高いオーバーヘッドを考慮して、vSAN構成の物理的容量はディスクグループ構成に応じて20~45%多く必要だと理解できます。
これは、Nutanix ADSF (Acropolis Distributed Storage Fabric)が、vSANと比較して、性能、拡張性、復元性の面で非常に優れていることを示しています。
また、Nutanixのシンプルさは、お客様(およびアーキテクト)がディスクグループの複雑さを理解する必要および追加設定の必要なく、「空き/スラックスペース」を考慮する必要がないバックグラウンド機能(curator/stargate)を提供しています。
なお、NutanixやvSAN、その他のHCIや従来のストレージ製品/ソリューションを選択するかどうかに関わらず、使用可能な容量は(非常に重要ですが)考慮すべき1つの要素に過ぎません。常に復元性/可用性の要件を考慮し、それに応じた設計を行いましょう。