VDI かDaaSか:最適な対象を選択する方法とは?

  • 13 May 2020
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本記事は2020年3月9日にRuben Spruijtが投稿した記事の翻訳版です。

原文はこちら

 

本シリーズ前半の3本のブログでは、基本的にVDIに焦点を当ててきましたが、4本目となる今回は、DaaSについて詳しくご紹介したいと思います。ここまでお読み頂いた段階で、皆様の企業には、VDI と DaaSのどちらを選択する方が適切なのかという点について、既に評価を固め始めていらっしゃるかも知れません。今回は、どちらを選択する上でも必要となる考慮点について、少し詳しく説明したいと思います。

 

ユーザーエクスペリエンスこそが、最も重要な成功要因であることは確かですが、多くの場合、VDIまたはDaaSのどちらを選択するかは、業務とITの状況を考慮して判断すべきものであることにご注意ください。エンドユーザーは、どのような仕組みによってツールが提供されているかという点よりも、業務の遂行に最適なツールであるかどうかを重視するからです。対象がAmazon Workspace、Citrix Cloud、Nutanix Xi Frame、Microsoft WVD、VMware HorizonなどのVDIなのか、またはDaaSソリューションなのかは、エンドユーザーにとって問題ではありません。

 

最適な対象を選択する方法とは?

 

結局のところ、何を選択するかは、皆様のユースケースや企業の能力、全般的な業務要件によって決定されます。以下の表は、VDIとDaaSを、5つの主要な観点から比較したものですが、それぞれの間で大きな違いを確認することができます。それでは、各観点を順番に見て行くことにしましょう。

 

VDI

DaaS

企業の能力

・BYO(Build Your Own:自社で構築)。設計、サポート、アップデートに際して、社内のスキルと担当者が必要

・「VDIプラットフォーム」をサービスとして利用

 

プラットフォーム

・手作業による毎年のアップデート

・成熟、テスト済、豊富な実績

・インターネット接続に依存しない

・自動的に毎週アップデート

・新たに出現したテクノロジー

・インターネット接続に依存

コスト

・初期投資コスト型モデル

・固定的なワークロードVMコスト

・完全な運用コストまたは初期投資コストと両方

・柔軟なワークロードのVM/IaaSコスト

地域

・ローカル、コロケーション/データセンター

・全グローバルクラウドリージョンに対応

・ハイブリッドクラウドワークロードの設定には、オンプレミスのインフラストラクチャーを利用

俊敏性/弾力性

・適度な導入時間

・固定的なキャパシティ

・短時間での導入が可能

・柔軟な利用

 

 

企業の能力

 

IT部門の観点から考えて「芸術と言うほど高度なVDI」を実践するためのリソースや専門知識、そして切実なニーズが存在するのか?それとも、「サービスとして」仮想デスクトップとアプリケーションを利用すべきなのか?という点を問いかけてみることが重要となります。

 

全ての仮想アプリケーションとデスクトップ環境には、コントロールプレーンとなるブローカーが必要となります。ブローカーは、ユーザーセッションのプロビジョニングなどを行い、ユーザーが適切なリソースに安全にアクセスできるようにします。またブローカーは、キャパシティ管理やインフラストラクチャーのオーケストレーション、イメージの展開、リモートディスプレイ・トラフィックなど、多数の処理を司ります。(詳細については、ブログ4をご覧ください)

 

VDIの場合には、ブローカーを含め、プラットフォーム全体の設計、インストール、セキュリティおよび管理に対して、皆様のEUCチームが責任を負うことになります。そしてこの対応は相当複雑ものになります。DaaSの場合、コントロールプレーンは、DaaSプロバイダーが運用するマネージド・サービスになります。

 

もしVDIの管理に対して責任を持てるスタッフや専門知識がなかったり、自社のユースケースのサポートにあたって、クラウドリソースの利用が必要な場合、あるいは既に他で手一杯という場合には、DaaSの方がより優れた選択肢となります。

 

プラットフォーム

 

仮に他の担当者がブローカーに対する責任を持っているという状況であっても、DaaSのコントロールが不要ということではなく、コントロールプレーンにアクセスするためには、インターネットの接続が必要となります。これはDaaSに対するユースケースを評価する上で、必ず考慮すべき点だと言えます。DaaSが持つ優位性は、迅速なアップデートサイクルにあり、毎週のようにDaaSソリューションが更新されていきます。DaaSは、最近頭角を現してきたテクノロジーであり、VDIと同様のユースケースを多数サポートしています。グローバルな規模のデータセンターと、柔軟なインフラストラクチャーのサブスクリプションによって、新しいユースケースにも対応できるようになります。

 

VDIの場合、セキュアなネットワークサービスを含め、VDIプラットフォームに対する責任を負うのは皆様のチームです。新しいバージョンのVDIプラットフォームの導入が、わずか年1回という例も少なくありません。VDIの優位性と言えるのは、成熟したテスト済みの実績が豊富なソリューションだという点です。29万のユーザーセッションを、同時に稼動させたお客様も存在します。

 

基本的な目的として、ブローカーやセキュリティ、ローカリティなどを完全に自分達でコントロールできる環境を導入するという場合であれば、VDIが優れた選択肢となります。例えば、規制が非常に厳しい業界であったり、クラウドへの接続に依存することなく、仮想アプリケーションやデスクトップを稼動させたいという場合が、それに該当します。

 

コスト

 

ほとんどの場合、一番の関心事となるのは、仮想デスクトップおよび仮想アプリケーションのコストです。VDIを導入する場合、インフラストラクチャーに対する多大なCapEx(初期投資コスト)や拡張コストに加え、定期的なインフラストラクチャーの更改も必要になります。DaaSの場合には、より柔軟なコストモデルが提供されます。全てのユーザーアプリケーションやデスクトップを、クラウド上で稼動させることができるため、全体としてOpEx(運用コスト)モデルを実現することができます。また、一部あるいは全てのユーザーアプリケーションやデスクトップを、オンプレミスのインフラストラクチャー上で稼動させ(ブローカーはクラウドのサービス)、初期投資コストと運用コストをミックスすることができるソリューションもあります。

 

予測可能な拡張を伴う、明確な使用パターンがある(そして、リソース上の制約に直面していない)場合にはVDI、またはオンプレミスで実行されるユーザーアプリケーション/デスクトップを備えたDaaSが、最も費用対効果の高い導入オプションになります。

 

俊敏性と弾力性

 

より優れた柔軟性や弾力性が必要な利用パターンの場合、DaaSには明白な優位性があります。例えば、臨時あるいは季節的な対応や、契約社員への対応が不可欠である場合、必要な時に必要な人数分だけの追加可能で、資本投入不要で利用している間だけ課金されるDaaSを選択することが理にかなっています。

 

もし時間が最重要課題の場合にも、DaaSであれば迅速な立ち上げと稼動が可能です。通常、お客様は、わずか数時間あるいは数日でXi Frameの導入を完了できます。また、ソフトウェアのイノベーションや最新のCPUやGPUハードウェアに対応し、最新のテクノロジートレンドに追随する必要がある場合でも、DaaSでは、それらの対応を容易に実現できます。VDIの場合には、ソフトウェアのアップグレードに長時間かかるだけでなく、予算や更改サイクルに縛られる結果となります。

 

地域

 

最後に考慮すべきは、ユーザーやデータの所在です。複数の地域にいるエンドユーザーをサポートする必要がある場合には、DaaSの方がより容易に実現できます。またデータがパブリッククラウド上に保存され、処理が行われている場合には、仮想アプリやデスクトップをデータの側で稼動させる形が理にかなっています。

 

VDIの場合には、サポート対象となる各地域に十分近い場所に導入する必要があります。この場合、「近い」という表現は、「ネットワークのレイテンシが低い」と言い換えることができます。データセンターがユーザーから遠い場所にあって、レイテンシも高く、さら帯域幅が狭い場合には、多くのリモートディスプレイプロトコルが、ユーザーエクスペリエンスに大きな影響を与える結果となります。データセンターやクラウドのリージョンについては、ローカルあるいはグローバルな規模でエンドユーザーをサポートできるよう、周到な選択が必要です。

 

適切なDaaSソリューションを選択することで、複数のゾーンにあるユーザーVMを使って、クラウドから全てのユーザーをサポートし、優れたユーザーエクスペリエンスを提供することができます。また、クラウドを全てのリージョンに対するコントロールプレーンとして使用し、ユーザーVMを一部、または全ての場所にあるオンプレミス環境上で稼動させることもできます。

 

次のステップへ

 

もし、このようなガイドラインから、VDIを選択することが妥当だと判断された場合は、VDIに向けたNutanix HCIの優位性について、ブログ3でご確認ください。DaaSを選びたい皆様、あるいはより詳しく知りたいという皆様は、DaaSの導入を成功させるための方法を詳しく説明する、次回のブログをお読みください。

 

 

 

本シリーズのブログ

 

 

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