VDIの課題とその解決方法

  • 30 March 2020
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Userlevel 3

 本シリーズの最初の記事 では、一元管理、セキュリティの向上および bring-your-own-device (BYOD)のサポート機能等、VDIと Desktop-as-a-Service (DaaS) の持つ主な利点について触れました。本記事ではVDIの構築で頻繁に見られる問題にフォーカスし、貧弱なユーザー体験、複雑なソリューション、膨れ上がるコストというVDI構築にかかわる三つの大きな課題についてお話しします。

 

課題1: 貧弱なユーザー体験

VDIプロジェクトを成功に導くには、素晴らしいユーザー体験を提供することが不可欠です。そのためには、ユーザー要件への対応や提供するパフォーマンスの最適化など、考慮すべき点をいくつか挙げることができます。
 

まず、エンドユーザーの要件を十分に理解することです。これができなければVDIのプロジェクトは上手くいきません。導入の初期段階から様々なユーザーに関与してもらい、そのニーズを満たせるようにしましょう。円滑にコミュニケーションをとることで、期待される内容を上手く管理することが重要になります。たとえ非常に高いパフォーマンスを提供できたとしても、VDIのソリューションとしての重要な機能が提供できていなければ、大きな差別化は図ることはできません。しかし、VDIプロジェクトの三分の一がこの点について十分に対応できていないというのが現状です。また、VDIプロジェクトのほぼ半数がパフォーマンスの問題を抱えています。パフォーマンスのニーズが明確であるように思える場合でも、必ずユーザーの視点を理解するようにしましょう。レスポンスの良いデスクトップやアプリケーションを提供することは重要ですが、注目すべき点がそれだけではない場合もあります。例えば医療の現場で複数の場所を行き来する臨床医の方にとっては、ログインにかかる時間が最も気になり、最も業務に影響をおよぼす指標になるでしょう。また、想定通りのパフォーマンスを常に提供できるという点も重要です。VDIサービスがほとんどの場合において、素晴らしいパフォーマンスを提供できていたとしても、時折、想定外にレスポンスが悪くなるといったことが発生すれば、ユーザーの満足度は下がってしまうでしょう。

また管理のしやすさも、VDIソリューション全体の満足度を決定する一要素といえます。管理が複雑だとユーザーに影響するミスが発生しやすくなるだけでなく、パッチやアップグレード等の必要なタスクの遅れや、アップグレード自体を回避するという事態を引き起こしかねません。インフラ関連のタスクについて、VDI管理者がサーバーやストレージ、ネットワークの担当者に依存しすぎない環境を用意することが理想的です。

 

課題2: 複雑なソリューション

VDIプロジェクトを複雑化させる要因はいくつもあります。厳しい機能要件やパフォーマンス要件はもちろんのこと、可用性やセキュリティニーズへの対応もその要因となります。大規模なVDI環境でも迅速なフェイルオーバーを可能にするには、プランニングのほか、テストやモニタリングにも時間や労力を費やす必要があります。

VDIプロジェクトは、概念実証(Proof of Concept)から完全商用化まで何ヶ月も、場合によっては何年もかかる場合があります。シート数に合わせて拡張できるようなソリューションを構築するとなると更に複雑性は増し、設計ミスのリスクも大幅に高まります。スペックを下回るVDI環境を構築してしまったとすれば、後々大きな頭痛の種となり、設計が大規模過ぎれば初期費用を抑えることが難しくなります。

サーバー、ネットワーク、ストレージを別の層に構成する従来の3階層型インフラを使用して、一からVDIの環境を作ることも複雑化の一因となります。サーバー、ストレージシステム、ネットワーク間で帯域要件と容量要件のバランスをとりながら、想定外のボトルネックを回避することは困難を極めるため、サイロ化した複数のリソースを管理し、モニタリングするツールが複数必要になります。

 

課題3: 膨れ上がるコスト

VDIプロジェクトのコストに影響する様々な要因について触れてきましたが、エンドユーザーが求める厳しい機能要件やパフォーマンス要件、高可用性のニーズ、デプロイメント、拡張、アップグレードサイクルの延長等はすべてその要因になり得ます。

従来型のインフラでVDIの環境を構築する場合、環境のオーバープロビジョニングはほぼ必須となるでしょう。後のシート数増に備えて ストレージシステムを初期段階でオーバープロビジョニングしてしまうと、初期費用を大幅に増加させてしまいます。またオーバープロビジョニングしたとしても、ストレージがボトルネックになる時期を予測することは難しく、大量のトラブルチケットや拡張、再構築など、想定外のコストにつながりかねません。

従来型の環境では更に管理の複雑さも加わり、OpExの増加や担当者間でのリクエストのやりとりが発生するため、アップグレード、トラブルシューティング、その他の重要タスクのスピードを落とすことになります。

またVMware ESXiのようなハイパーバイザを実行する場合は、大規模VDI実装に必要となるライセンスコストが瞬く間に膨れ上がり、プロジェクト全体にかかるコストの大部分を占める事になるでしょう。

 

HCIを用いてVDIの課題に対処

このようにNutanixは、hyperconverged infrastructure (HCI) が様々なVDIの課題を解決する上で重要な役割を果たすと自負しています。そしてこのことは、VDIが元来HCIの”キラーアプリ”だったという事実に基づいています。 VDIの専門家やインフラベンダー(HCIと従来型のソリューションの両方扱うベンダー含む)は、VDIのプロジェクトにHCIを推奨することでしょう。 次回ブログではVDIに特に相性の良いNutanix HCIの機能を一部ご紹介します。

Desktop-as-a-ServiceがVDIの課題を払拭できるのか、という質問の答えは、一言で言えば「可能」ですが、ユーザー要件を事前に理解しておく事が前提となります。 本シリーズ後半では、DaaSをより詳細に掘り下げていきます。

本シリーズのブログ

-VDIとDesktop-as-a-Serviceを考慮すべき理由

- VDIの課題とその解決方法


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