データ保護とディザスタリカバリのためのチェックリスト

  • 22 May 2020
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本記事は2018年9月18日にInes Marjanovic氏が投稿した記事の翻訳版です。

原文はこちら

 

今日の企業は、データ保護という目標を追求する過程で、かつてないほど多くの障害を、そのセキュリティ環境で目のあたりにしています。最近の「Global Data Center Survey Report」に掲載された、データセンタービジネスの新しいトレンドには、驚くべき内容が数多くあります。信頼性や拡張性に優れたインフラストラクチャーを求める声が高まっていることは周知の通りですが、実態としては、極めて重要なデータに関連したプロセスの停止によって発生する問題が、既存のシステムに対する企業の信頼を悪化させているのです。

 

例えば、同レポートにおける回答者の31%が、深刻な影響をおよぼすシステムの停止を経験し、約80%が、自ら経験したシステム停止は、回避できたのではないかと回答しています。言うまでもなく、企業は、IoT以前にもデータセンターやROBO(リモートオフィスやブランチオフィス)を保護する必要がありました。しかしIoTが出現した後、企業は、コアとなるデータセンターだけでなく、エッジに存在するインフラストラクチャーの保護も求められるようになりました。

しかし幸いなことに、これらの課題にも対応できる、データ保護の近代化というトレンドが浮上してきました。このようなソリューションを理解し利用するためには、まずその動向を理解することが重要となります。その上で、自社が直面している課題が他の多くの企業と同じかどうかを判断し、自社のデータ保護要件を満たすことができる、アプリケーション固有のソリューションを構築します。それでは、動向を分析してみましょう。

 

データ

データを何に使用しますか?どれぐらいのデータ量がありますか?どれだけの種類のデータがありますか?データの多様性に伴う複雑さもあり、データを保存する場所を決定することは、決して容易ではありません。データは、サーバーやデスクトップ、ブロック、ファイル、オブジェクトストレージ、そして様々なクラウド環境にも保存することができます。

 

要件

Enterprise Strategy Group (ESG) によれば、サービスの2/3は、2時間以内にリカバリできる必要があります。目標復旧時間 (RTO) と目標復旧時点 (RTO) が、さらに短くなっているため、企業側は、より高度なデータ保護を求めるようになっています。

 

仮想化

今日の企業にとって重要かつ「不可欠」となった仮想化機能ですが、仮想化におけるデータ保護は複雑であり、IT部門に対してソリューションの変更や追加を強いる結果になっています。IDCによれば、2015年の時点で72%の企業が複数のハイパーバイザーを使用しており、この状況がまた課題を生む要因となっています。

 

時間

データのレプリケーション、スナップショットの取得、別の場所へのコピーの配信などが発生することにより、データ保護に向けた対応時間が減少し、バックアップを取っている時間もほとんど無いような状況となっています。従来のデータ保護の方法は冗長であり過ぎ、業務側はとてもそのような時間を確保できません。

 

複雑さ

複数の保護ソリューション、サーバー、アプリケーション、ディスク、テープメディアなどが、業務の複雑さを増長しています。

 

コスト

データ量や保存期間、複雑なハードウェアやソフトウェアによってコストが増大します。言うまでもなく、データセンターのシステム停止に起因するコストと課題の両方が拡大傾向にあります。Ponemon Instituteでは、システム停止に起因するコストは、2010年から現在までに38%増大したと報告しています。特に、システム停止に起因する最大のコストは、2013年から32%、2010年からは81%の増加となっています。これを金額に換算すると、2016年のシステム停止に起因する最大コストは、総額240万9,991ドルとなります。

 

コピーの増殖

データのコピーは必要です。業務の場では、それをバックアップやアーカイブ、ディザスタリカバリなどに使用します。しかし、コピーの量が増えるほどコストも膨らみ、また何を破棄するべきかという判断が困難になっています。

 

このような課題に対応するために、以下のような保護機能が開発されています。

 

  • スナップショット:2時間のRPOが目標の場合、従来のストリーミングによるバックアップでは対応できません。このような要件には、スナップショットが最適となります。スナップショットはスペース効率に優れ、頻繁に取得することが可能で、ストレージの消費量も変更分だけになります。
  • アプリを中心とした保護:従来の統合バックアップ手段が無くなったわけではありませんが、多くの企業がその用途で仮想化やクラウドコンピューティングを採用しています。データの保護だけでなく、アプリケーションの保護もまた重要となるからです。より包括的なバックアップ戦略として、多くの企業が旧来のバックアップ手段をアプリ中心の手法に置き換えています。
  • レプリケーション:プライマリのデータセンターがオフラインになった場合でも、レプリケーションを使った迅速なリカバリが可能であり、RTOやRPOの目標を達成することができます。非同期および同期型のレプリケーションが主流となっており、それぞれデータのリカバリとデータ喪失の回避に対応できるようになっています。
  • クラウド:クラウドのキャパシティには制限がないため、コストや複雑さを低減し、テープメディアの利用を最小化することができます。言うまでもなく、クラウドの場合には、データ保護のためのプロビジョニングやキャパシティプランは不要となります。
  • コピーデータ管理:コピーが多すぎると混乱が発生し、管理が困難になります。スナップショットやクローンの場合には、管理作業を効率化しストレージの消費を抑えながら、この問題に対処することができます。IDCの調査結果によれば、全てのストレージキャパシティの45%~60%が、コピーデータの保存だけのために使用されています。コピーデータを利用した最も顕著な例は、組織内の複数のグループを横断する形で発生する、様々なユースケース(BI、分析、開発・テストなど)に対応するためのデータベースのクローン化です。この場合、スペースや時間に対して効率的な、リダイレクトオンライト (redirect-on-write) 方式をベースにしたスナップショットを利用することが、インフラストラクチャーリソースの最適な利用に向け極めて重要となります。

データ保護要件は、全体としては拡大を続けますが、アプリケーションによってそれぞれのニーズが異なり、中には他よりも高度な保護を必要とするものもあります。全てのソリューションがRTOやRPOの目標に対応できるわけではないため、あらゆる課題に対処しようと考えると、保護そのものに混乱が生じる結果となります。

 

アプリケーションの種類に応じて、保護戦略を要件に合わせていく必要があります。それでは、いくつかの主要なエンタープライズアプリケーションについて、データ保護要件を決定する上での考慮点を見てみることにしましょう。

 

エンタープライズアプリケーション/Tier 0とTier 1のデータベースおよびアプリケーション

まずは、ミッションクリティカルなデータベースと関連するアプリケーションから始めましょう。重要なアプリケーションであるため、より完璧かつ目的に特化した保護戦略が必要になります。

 

  • バックアップ/リストア:このようなアプリケーションの場合、定期的で頻度の高いバックアップが必要になります。このTierに属するアプリケーションがオフラインになったりデータが失われた場合、大きな影響が発生します。人的なミスの発生やソフトウェアバグの場合にも、迅速なリカバリが必要です。
  • ディザスタリカバリ:RPOやRTOに応じて、同期または非同期レプリケーションを選択します。例えば、疑似同期 (Near Sync) レプリケーションの場合には、最短1分といった、よりきめ細かなRPO要件に対応することができます。

 

カスタムのデータベースとアプリケーション

これらは、JAVAや.NETなどの言語で開発され、リレーショナルデータベース管理ソリューションによってサポートされます。ミッションクリティカルではありませんが、特別な保護が必要です。

 

  • バックアップ/リストア:定期的なバックアップと頻繁なスナップショットによって、アプリケーションの安全な稼動を保証することが必要です。
  • ディザスタリカバリ:このようなアプリケーションの場合、求められるRPOやRTOは1時間以上になるため、非同期レプリケーションが適切となります。

 

次世代のWebベースアプリケーション

Webベースのアプリケーションフレームワークが企業の主流となり、そこではNoSQLデータベースが多用されています。REST APIを使用することで、Nutanixのデータ保護機能とアプリケーションを連携させることができます。

 

  • バックアップ/リストア:人的なミスやソフトウェアのバグからデータを保護するためには、バックアップおよびリストアが不可欠です。また例えば、継続的デリバリ (CD: Continuous Delivery) を行う企業には、スナップショットとクローンが有効となります。
  • ディザスタリカバリ:耐障害性機能が組み込まれており、各アプリケーションサービスのマルチインスタンスが、クラスタや地域を横断する形で存在します。

 

アプリケーションとデスクトップの仮想化:アプリケーションがVDIに移行した場合でも、従来のデスクトップと同じレベルのデータ保護機能を提供する必要があることに変わりはありません。しかし、VDIに障害が発生すると、非常に多くの社員の業務がストップする可能性があるため、バックアップを使ってVDI環境をリカバリできることが重要になります。

 

データ保護の対応は、混乱を巻き起こしたり、またその一方で、退屈かつ困難な場合もあります。アプリケーションが何を必要としているかを見極めることこそが、データの安全を保護するベストな戦略を選択する上で不可欠となります。以上、データ保護とディザスタリカバリのほんのさわりだけを説明しました。 これからデータの保護を始めようとお考えの場合には、「The Definitive Guide to Data Protection and Disaster Recovery(データ保護とディザスタリカバリ完全ガイド)」を参考にして、データ保護の現状、リカバリ戦略、そしてNutanixソリューションによってデータ保護を開始する方法をについてご確認ください。

 

手短に言えば:データ保護やディザスタリカバリを困難にする様々なトレンドが生まれていますが、新たな課題の対処に向け、シンプル化や課題の極小化を実現するための取り組みも始まっています。データ保護の要件拡大に伴い、アプリケーション独自のニーズを常に確認しながら、データを常に最新の状態に保つことが重要となってくるのです。

 

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